データ比較表(不動産鑑定士 vs 司法書士)
| 項目 | 不動産鑑定士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 難易度スコア | 65.3 | 71.3 |
| 偏差値(難易度スコア換算) | 61.7 | 66.2 |
| 難易度順位(スコア算出77資格中) | 10位 | 7位 |
| 直近合格率の平均 | 16.8% | 5.2% |
| 勉強時間の目安 | 2,000〜3,000時間 | 2,500〜3,200時間 |
| 受験資格 | 受験資格なし(誰でも受験可) | 受験資格なし(誰でも受験可) |
| 受験料 | 12,800円 | 8,000円 |
| 試験日程 | 年1回。短答式は5月(令和6年は5月19日)、論文式は8月(同8月3〜5日)。短答式合格者・免除者が論文式を受験 | 年1回。筆記試験は7月(令和7年度は7月6日)、口述試験は10月(同10月14日) |
| 実施機関 | 国土交通省 土地鑑定委員会 | 法務省 |
年度別の推移と出典URLは、 不動産鑑定士の難易度と 司法書士の難易度の各ページにあります。
平均に使った回
- 不動産鑑定士: 令和6年・論文式/令和5年・論文式/令和4年・論文式
- 司法書士: 令和7年度/令和6年度/令和5年度
合格率の母集団に関する注意
- 不動産鑑定士: DBの合格率は論文式試験の対受験者合格率(合格者数÷論文式受験者数)。短答式(合格基準は総合点概ね7割)合格者と免除者のみが論文式に進むため、短答式受験者を含む全体の選抜率より高く出る。短答式の合格率は例年30%台
- 司法書士: 合格率は最終合格者数÷筆記試験受験者数。筆記合格者はほぼ全員が口述試験に合格するため、最終合格率は筆記合格率とほぼ一致する。合格は成績上位者からの相対評価で、合格率は例年5%前後に収れんする(令和7年度5.2%・令和6年度5.3%・令和5年度5.2%)
不動産鑑定士の平均合格率16.8%と司法書士の平均合格率5.2%は、どちらもこの注記がついた数字です。母集団の作り方が違うまま並べても同じ意味にならないので、このページは合格率単体ではなく、勉強時間と受験資格も合成した難易度スコアで比べています。
どちらを受けるか(データから言えること)
1. 法律で認められる仕事がどう違うか
| 資格 | 分類 | 対象 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 不動産鑑定士 | 業務独占 | 不動産の鑑定評価 | 不動産の鑑定評価に関する法律第36条第1項 |
| 不動産鑑定士 | 名称独占 | 不動産鑑定士の名称 | 不動産の鑑定評価に関する法律第51条第1項 |
| 司法書士 | 業務独占 | 登記・供託手続の代理等 | 司法書士法第73条第1項 |
| 司法書士 | 名称独占 | 司法書士の名称 | 司法書士法第73条第3項 |
どちらも業務独占資格です。不動産鑑定士は不動産の鑑定評価、司法書士は登記・供託手続の代理等が、それぞれ資格を持つ人にしかできないと法律で定められています。
根拠になる法律が不動産の鑑定評価に関する法律と司法書士法で分かれています。就きたい仕事が上の表のどちらに入るかを先に見てください。
2. そもそも受けられるか(受験の前提条件)
- 不動産鑑定士: 受験資格なし。年齢・学歴・国籍・実務経験等に関係なく短答式試験を受験できる(出典: 国土交通省・不動産鑑定士試験受験案内)
- 司法書士: 受験資格なし。年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験でき、受験回数の制限もない(出典: 法務省・司法書士試験)
不動産鑑定士(受験料12,800円)も司法書士(8,000円)も、上の実文のとおり受験の前提条件が置かれていません。どちらから始めるかを分けるのは、国土交通省 土地鑑定委員会と法務省が公表する日程と、払う受験料のほうです。
3. 勉強時間の差は、カレンダーだと何ヶ月か
| 1日の勉強時間 | 不動産鑑定士 | 司法書士 | 差(司法書士が長い) |
|---|---|---|---|
| 1時間 | 65.8〜98.7ヶ月(2000〜3000日) | 82.2〜105.3ヶ月(2500〜3200日) | 6.6〜16.4ヶ月 |
| 2時間 | 32.9〜49.3ヶ月(1000〜1500日) | 41.1〜52.6ヶ月(1250〜1600日) | 3.3〜8.2ヶ月 |
| 3時間 | 21.9〜32.9ヶ月(667〜1000日) | 27.4〜35.1ヶ月(834〜1067日) | 2.2〜5.5ヶ月 |
目安の下限どうし・上限どうしで引き算すると、司法書士のほうが200〜500時間多く必要です。1日2時間のペースなら3.3〜8.2ヶ月の差になります。
この比較で扱っていないこと
- 持っているデータ: 国土交通省 土地鑑定委員会と法務省が出している合格率・受験料・試験日程。勉強時間の目安は不動産鑑定士がアガルートアカデミー(最低2,000時間・初学者は3,000時間以上)、司法書士がアガルートアカデミー(通信講座利用で2,500時間前後・独学は3,200時間以上)の公表値
- 合格率の範囲: どちらも直近3回分の平均。それより前の回は入っていません
- 載せていないもの: 年収と求人数(不動産鑑定士・司法書士とも一次データが無いため)
鑑定士は試験に受かっても資格にならない。実務修習を修了して大臣の確認が要る
鑑定士は試験に受かっても、それだけでは資格になりません。不動産の鑑定評価に関する法律第4条は、試験の合格に実務修習の修了と国土交通大臣の確認を重ねて資格の要件にしています(出典: e-Gov法令検索)。
実務修習は第14条の2、修了の確認は第14条の23に定めがあります。
実務修習は、合格者に不動産鑑定士となるのに必要な技能と高等の専門的応用能力を修得させるため、国土交通大臣の登録を受けた実務修習機関が行うものです(第14条の2)。
司法書士は口述まで通れば、そのまま登録に進めます。司法書士法第4条が挙げるのは司法書士試験の合格者と、裁判所事務官等の職歴により法務大臣の認定を受けた者だけで、修習の要件がありません。
同法第6条第2項は試験を筆記と口述の方法で行い、口述試験は筆記試験の合格者について行うと定めています(出典: 同)。
筆記の段構えも違います。鑑定評価法第8条は、不動産鑑定士試験を短答式と論文式による筆記の方法で行うと定めており、口述試験がありません。
第10条第1項は、短答式に合格した者について、合格発表の日から2年を経過する日までの短答式を免除すると定めています(出典: 同)。短答式に一度受かれば2年は論文式に集中できます。
司法書士は同法第6条第3項が「筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の司法書士試験の筆記試験を免除する」と定めるだけで、免除は次回の1回に限られます。
論文式には経歴による科目免除もあります。鑑定評価法第10条第2項が挙げるのは、大学等で通算3年以上その分野の教授・准教授だった者や博士の学位を持つ者(民法・経済学・会計学のうち該当科目)などです。
民法・経済学・会計学について公認会計士試験を受けて合格した者(その受験した科目)、司法修習生となる資格を得た者(民法)も対象です(出典: 同)。司法書士はこの列挙にありません。
ただし同項第6号は、必要な専門的学識を有する者として政令で定める者という枠を残しているので、条文だけで免除の全部が読み切れるわけではありません。実際に該当するかは国土交通省の受験案内で確かめてください。
逆向きは条文で閉じています。司法書士法第4条が挙げるのは司法書士試験の合格者と法務大臣の認定を受けた者の2つだけで、不動産鑑定士は出てきません。
取ったあとにできることも重なりません。鑑定評価法第3条第1項は「不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行う」とし、第2項は不動産の利用・取引・投資に関する相談などを業とできると定めています。
司法書士法第3条第1項が挙げるのは登記または供託に関する手続の代理、法務局への提出書類の作成、裁判所・検察庁に提出する書類の作成などです(出典: 同)。片方は値段を決める仕事、もう片方は権利を登記する仕事です。
編集部の見解
「合格した年に働き始めたい」なら司法書士。鑑定士は合格の先に修習の時間が要る
いつから収入につながるかで選んでください。司法書士は筆記と口述に通れば登録に進めます。鑑定士は試験に受かったあと、実務修習を修了して国土交通大臣の確認を受けるまで資格になりません。
学習に何年かかけたうえで、さらに修習の期間を空けられるかを先に確かめてください。会社を辞めて挑むつもりなら、無収入の期間が試験対策だけで終わらない点が効いてきます。
働きながら少しずつ進めたいなら鑑定士のほうが向いています。短答式に一度受かれば、その合格発表の日から2年は短答式が免除され、論文式に集中できます。
司法書士の筆記免除は次回1回だけなので、2年続けて届かないと積み上げが消えます。同じ長期戦でも、途中で失速したときに残るものが違います。
経歴を持っている人は、鑑定士の科目免除を先に確認してください。大学で法律学・経済学・商学を教えた経験や博士の学位、公認会計士試験でその科目に合格したこと、司法修習生となる資格を得たことが、論文式の科目を消します。
該当するものがあるなら、鑑定士の負担は表の数字より軽くなります。逆に司法書士試験にこの種の経歴免除はありません。手持ちの経歴が効くかどうかが、この2つの実質的な差になることがあります。
仕事の中身で選ぶなら、迷う余地は小さいはずです。鑑定士は不動産の値段を根拠つきで出す仕事で、依頼者は自治体・金融機関・投資家などに寄ります。
司法書士は登記の手続と裁判所提出書類が中心で、依頼者は不動産を売買する個人や中小企業です。数字とレポートで仕事をするか、手続と書類で仕事をするか。この違いは合格率や勉強時間より先に効きます。
この見解が寄りかかっているデータ
- 「働き始める時期」の根拠は、不動産の鑑定評価に関する法律第4条・第14条の2・第14条の23が実務修習の修了と大臣の確認を資格の要件にしていることと、司法書士法第4条に修習の要件がないこと(上の出典一覧)
- 「積み上げの残り方」の根拠は、鑑定評価法第10条第1項の短答式2年免除と、司法書士法第6条第3項の次回1回の筆記免除
- 「経歴が効く」の根拠は、鑑定評価法第10条第2項の論文式科目免除の列挙。司法書士がその列挙にないことも同じ条文から言えます
- 仕事の違いは、鑑定評価法第3条と司法書士法第3条第1項の業務の定め、および上の「法律で認められる仕事がどう違うか」の表
- 学習量の差は、上の難易度スコアと勉強時間の表(各資格ページの一次データから算出)
この比較の算出方法
スコア65.3と71.3は、上の比較表にある合格率・勉強時間の目安・受験資格を、同じ式に入れた値です。
よくある質問
不動産鑑定士と司法書士はどっちが難しいですか?
司法書士の方が難しい試験です。難易度スコアは司法書士が71.3、不動産鑑定士が65.3で、偏差値換算と合格率は本文の比較表にあります。
勉強時間はどのくらい違いますか?
幅の中央値どうしで割ると司法書士の方が約1.1倍です。目安は不動産鑑定士が2,000〜3,000時間、司法書士が2,500〜3,200時間(出典はページ末尾の一覧)。出典が違えば数字も動くので、幅のまま見てください。
不動産鑑定士の平均合格率16.8%と司法書士の平均合格率5.2%は、そのまま比べられますか?
そのままは比べられません。受験資格は同じ(受験資格なし)ですが、実施機関が国土交通省 土地鑑定委員会と法務省で違い、受験する人の層も試験形式も別だからです。不動産鑑定士と司法書士の数字には、本文の「合格率の母集団に関する注意」がついています。このページは合格率単体で順位を付けず、勉強時間と受験資格も合成した難易度スコアで比べています(年度ごとの推移は各資格のページ)。
不動産鑑定士と司法書士では、できる仕事がどう違いますか?
不動産鑑定士は不動産の鑑定評価が業務独占、不動産鑑定士の名称が名称独占、司法書士は登記・供託手続の代理等が業務独占、司法書士の名称が名称独占です。条文の実文と確認日は本文の表にあります。
出典
- 不動産鑑定士 合格率(令和6年・論文式(受験847/合格147))出典: 国土交通省 土地鑑定委員会(確認日 )
- 不動産鑑定士 合格率(令和5年・論文式(受験885/合格146))出典: 国土交通省 土地鑑定委員会(確認日 )
- 不動産鑑定士 合格率(令和4年・論文式(受験871/合格143))出典: 国土交通省 土地鑑定委員会(確認日 )
- 不動産鑑定士 勉強時間の目安 出典: アガルートアカデミー(最低2,000時間・初学者は3,000時間以上)(確認日 )
- 不動産鑑定士 試験日程 出典: 国土交通省 土地鑑定委員会(確認日 )
- 令和7年度司法書士試験の最終結果について(筆記試験合格点と午前・午後・記述の基準点/筆記と口述の試験日)出典: 法務省(2026-08-06確認)
- 司法書士 合格率(令和6年度(筆記受験13,960/最終合格737))出典: 法務省(確認日 )
- 司法書士 合格率(令和5年度(筆記受験13,372/最終合格695))出典: 法務省(確認日 )
- 司法書士 勉強時間の目安 出典: アガルートアカデミー(通信講座利用で2,500時間前後・独学は3,200時間以上)(確認日 )
- 司法書士 受験料 出典: 法務省(確認日 )
- 不動産の鑑定評価に関する法律第3条(業務)・第4条(資格)・第8条(試験の目的及び方法)・第10条(試験の免除)・第14条の2(実務修習)・第14条の23(修了の確認)出典: e-Gov法令検索(2026-08-06確認)
- 司法書士法第3条第1項(業務)・第4条(資格)・第6条第2項第3項(試験の方法/筆記試験合格者の次回免除)出典: e-Gov法令検索(2026-08-06確認)
- 不動産鑑定士試験(受験案内・短答式試験と論文式試験の施行)出典: 国土交通省(2026-08-06確認)